The Epic of Zektbach

ニョアの手記

冒険者諸君、ごきげんよう。ニョアである。

前方へ5ジェマ、左側へ3ジェマ――。
正確に進んだ私達は遂にその地点に到達した。

『本当にここなのですか?』
ベルナデットの声には疑念の意がこもっていた。
相変わらずのもやで周りの視界が悪いのであるが、これだけはハッキリと言えた。

ここには何もない。

オスティヌスの方向感覚が狂ったのだろうか?いや、それは違うにゃ。
彼女の方向感覚はとても正確、と言いきれる。

私は座り込み今一度考えた。

そもそも石像の方向に意味が無かったのか…。
それとも、かつてここに上陸した誰かが意味深で趣味の悪い悪戯をしたのか。

…にゃ?悪戯?悪戯…

そう考えながら無造作に地面を見ていると、何か書き記した跡が見える。
これは…?文字か?

『ふぉっふぉっふぉ。ひっかかりおったな。
何事にも何かしら意味があると考ればいいってものでもないぞ。by Zektbach』

ばい ぜくとばっは…

きーーー!!悔しいにゃ!!悔しいにゃ!!

私が高級なリフラル織物のハンケチーフを噛んで
肉球を大地に打ちつけて悔しがっている横でベルナデットはつぶやいた。
『意味を求めるな…理由などない。其処にあるのは…貴方はそう言いたいのね。』

ベルナデットの言う意味はよく分からなかったが、私は悔しいので君達の便りに声を大にして答えるにゃ!


ニョア殿、こんにちは。
今、こちらの世界では犯罪が蔓延っています。
たとえば、強盗や殺人は勿論の事、中には政治を牛耳り、その利を我が物とするものまでもいます。
そこでニョア殿に質問です。
そちらの世界では、犯罪はどのくらい蔓延っているのでしょうか?
そしてそれは主にどのような犯罪なのでしょうか?
教えていただければ幸いです。
(騎士15kiraより)


犯罪は勿論アリア・テ・ラリアでも存在する。
社会の中で規律がある以上、犯罪は常に一定の割合で存在するにゃ。
逆に言えば犯罪が自然発生しない環境には規律はいらない、規律がなければ犯罪という言葉も存在しない。
ある厳しい規律を守り続ける、社会から孤立した位置にある閉鎖された村において
多くの村人の心の乱れを呼ぶ1人の部外者を排除するのは犯罪なのであろうか?
それは村人にとってはノーにゃ。村の規律を基準にすれば部外者の存在自体が犯罪なのだから。
ノイグラード王国において規律を決めているのはトリスアギオンの教えとアギオナ機関である。
この規律を守らなければ、君達が疑問に思うことでさえ犯罪とされている。
アギオナは一定の犯罪をわざと発生させる事によって統治を強くし大多数の和平を保障しているとも見れる。であるので、この世界において犯罪と悪は必ずしも結び付かないかもしれないにゃ。


こんにちは。
言語学を習得中のタクァイと申します。
ゼクトバッハの世界での「公用語」は何語なのか、
またそれは地球でのどの言語に一番近いかをちょっとだけ解説していただければ幸いです。
よければニョア殿お勧めの辞書も紹介してください。
(学院生タクァイより)


言語学の研究は文化のルーツやその伝達過程は勿論の事、人々の生活様式や道徳
大切にしているものや忌み嫌うものまで分かるとても有意義なものだにゃ。
はじめにことばありきとはよく言ったものである。
さて、アリア・テ・ラリアの公用語はノイグラード語である。
ノイグラード語は地方によって発音の違いや訛りがあるものの、
ほぼガルキア大陸全域で使われていると言ってよい。
昔にはマシノワ語や古ナセム語も存在していたが、古い言葉を使う人は殆どいない。
興味深いのはマシノワ語とノイグラード語は表記や発音は全く違うものの非常に文法構造が似ているという事もあって、古ナセム語の独自性である。
このあたりは『伝承からさぐるアリア・テ・ラリアの言語』という本をお薦めするにゃ。

ずばり!ニョアの弱点が知りたい!!!
(学院生Ayaより)


残念ながら、私には弱点は存在しないにゃ!
しかし、しっぽを引っ張る事だけはやめて頂きたい。

さて、私は最近気になった事があります。
それはノイグラード王国の情報はどうやって回っているのかという事です。
以前ファロは情報屋からノクスの情報をいれ、ノクスのもとへ行ったときいておりましたが
王国には我が国のように新聞や映像を映し出す箱などはないのでしょうか?
お答え願いたいと思います。
(騎士アメリアより)


ノイグラードには新聞機関や映像は発達していないが、情報を伝える施設は街ごとにあるにゃ。
トリスアギオンにまつわる行事や諸儀式、各階級・職業の義務の発令は
ノヴァリスタ城トリスアギオンの間にいる大神官から各街の教会に伝えられる。
国王・騎士団・アギオナによる王宮閣議で制定した国令・新制度は大臣より各街のジャッジに伝えられ
各家に伝えられる。
その他の気象情報・文化情報・各階級の情報・各職種の情報は情報施設によって知ることができる。
ただし、階級により得られる情報の方向性や量が規制されている。
貴重な情報源である書籍物は王国全土の書店に置きたいならば発行の際に厳しい検閲が入る。
その為、必然的にファロが接触したような情報屋が存在しているみたいだにゃ。

では今回はこの辺で、さらばにゃ!

――――――――――――ニョアの手記 55 ――――――――――――

(2009.08.26)


The Epic of Zektbach -FRAGMENTS OF ARIA TE'LARIA-

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