The Epic of Zektbach

チャコルの手記

冒険者諸君、ごきげんよう。ニョアである。

長靴を履いてラタキア砂漠に入った長靴を履いた猫である私は早速絶望感に襲われた。
1匹で砂漠に入るのはやはり無謀であったかもしれない。
何しろ、見える景色全てが同一である。
星の方向を頼りに進もうと思っていたが、大きな雲が空を覆っている。
まさにお手上げにゃ。
私は立ち止って座り込んだ。

空間運動を完全に静止すると私がもつ運動速度ベクトルは時間方向に全て費やすわけであり
私は今まさに時間の中を光速で移動しているとも言える。

…ダメにゃ、暑さで頭がおかしくなってきたにゃ。
天気は曇りだが、砂が異様な熱気を放射しているにゃ。

私は正気を保つ為に君達の便りを読むことにした

ニョア様こんにちは!
私たちの世界では「セイジ」や「ケイザイ」といったものが激しく揺れ動いています。
自分たちで創り出したものだというのに、
思わぬ動きに翻弄されているのが現状のようです。
もちろん、その裏には多くの思いが混沌と渦を巻いているのでしょうが…。
そこで質問なのですが、ノイグラード王国において
絶大な権力を有している諮問機関アギオナのみなさんは、
普段どこでどんな生活を送っているのでしょうか?
やはり王都ノヴァリスタの一等地に居を構えているのでしょうか?
(踊り子アメノウズメ)

人間というものはよっぽど踊りが好きなのか、自ら作ったものに踊らされる事が多い気がするにゃ。
ちなみに私も踊りが好きである。みたまえ、この華麗なる音頭を!
(ノ'ω^)ノにゃっ にゃっ ぱっ ぱっー♪

…さてと。アギオナ機関の件であったな。
察しの通り、アギオナは王都ノヴァリスタの特別区と呼ばれる地区に居を構えてる者が多い。
この地区は非常に警備が厳しく、立ち入りも限定されているので
ノヴァリスタの一般国民はこの地区がどうなっているのか分からないのだ。
私がオスティヌスに乗ってこの地区を空より見たところ、非常に怪しい感じがしたにゃ。

ニョア様はじめまして。
私は少し前にZektbach様の素晴らしい世界に出会い、手に入る限りの情報を集めて考察しています。
ニョアの手記もすべて拝見させていただきました。
そんな中感じたのですが、
マタンやアンネース達の性格等については何度か触れられているのですが、
リアンの人柄についてはあまり紹介されていないのではないですか?
図書館で勉強していたそうですが同年代の友人などはいたのでしょうか?
もし宜しければ教えて下さい。
(魔道士シオンより)

リアンの家は図書館であり、独自に勉強をしていたので学校には通っていないが
友人は多かったようだ。
早くから学問を多く習得したので、非常に大人びた印象があるが
中身は無邪気そのものであり、数学的な悪戯をして人を困らせた事も多々ある。
リアンのエピソードを少しだけ紹介しよう。

リアンは父親がアギオナ機関により幽閉されてしまい、母親もその失意で育児を放棄したため父親の親友であった王立図書館の司書ゲッティンゲンによりひきとられる。
このゲッティンゲンは学者では無かったが王立図書館の司書というだけあって
博識であり、中でも数論についての知識は王国でも1,2を争うと言われていた。
ゲッティンゲンはまだ幼いリアンに数学的なパズル問題を数多く与え、解かせた。
それは司書の仕事が多忙であり、自分がなかなか構う事ができないので
リアンのお守をパズル問題に託していたのである。
リアンはこのゲッティンゲンおじさんが持っているパズルが大好きであった。
次はどんなパズルが来るのかいつもワクワクしていた。
ゲッティンゲンはパズルを徐々に難解なものにしていったがあまりにリアンが早く解いてしまう為、ゲッティンゲンは試しにアリア・テ・ラリアでまだ誰も解いたことが無いミレニアムパズルと呼ばれるものを与えてみた。
これでしばらくはこのパズルに夢中になると考えたのだ。
そのパズルも与えた3日後、リアンがゲッティンゲンに所にやってきてこう言った。

『おじさん、解けたよ!これで遊んでくれるよねっ!』

リアン9歳の時であった。

ニョアさま!所持金がわずか2ガゼルとはどういうことですか!
私が勤めている料亭を紹介しますので一緒に時間労働をいたしませんか?
ちなみに先日知ったのですが、「2」以外の素数は4の倍数+-1で表せることに驚きました。
例 13=4×3+1 31=4×8-1
やっぱり数学って美しいものなんですね。
(学院生コレムより)

私の所持ガゼルは素数で唯一の偶数…つまりは2ガゼルにゃ!君の正解にゃ!
さて、君の言うように2以外の全ての素数は【4n+1】【4n-1】の2式で表す事ができる。
なんとも簡潔でエレガントな定理である。
この2式にはさらに興味深い性質がある事はご存知かにゃ?

【4n+1】型の素数は全て2つの数の2乗の和となる。

29=4x7+1=(5x5)+(2x2)=25+4=29
41=4x10+1=(4x4)+(5x5)=16+25=41

【4n-1】型の素数は決して2乗の和の形にはならない。

この事実を見ても素数は実に簡潔で不思議な性質を持っている事が分かると思うにゃ。
数学に美しさを感じる君に別のエレガントな公式を教えよう。
円周率πに関するものである
(ここでは1/3は3分の1と左の数を分子、右の数を分母で見てくれたまえ)

π=4x(1-1/3+1/5-1/7+1/9-1/11+1/13-1/15+…

この式のエレガントな所は括弧内の計算が引き算と足し算を交互に繰り返している所と
分母が整然と奇数を順に並べているところである。

もう1つπに関して

π=2x(2/1x2/3x4/3x4/5x6/5x6/7x8/7x8/9x10/9x10/11x12/11x…

これはどこがエレガントか分かるかにゃ?分子と分母に注目にゃ。

括弧内の分子を見てみると 2,2,4,4,6,6,8,8,10,10,12…と偶数が続いていき
括弧内の分母を見てみると 1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11…と奇数が続いている

3.1415926535…と一見出鱈目な数に見えるπだが
このようにとても整然とした数と規則的なパターンで表せるのを見るととても不思議な感覚になるにゃ。
私が思うにπはなにか二つの整然としたものの境界線を表しているのだと思うにゃ。
滅茶苦茶になろうとする力と、整然と調和を保とうとする力。
その狭間にπは存在しているのでないだろうか。

では、今回はこの辺でさらばにゃ!



――――――――――――ニョアの手記 84 ――――――――――――

(2010.04.28)


The Epic of Zektbach -FRAGMENTS OF ARIA TE'LARIA-

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